グリッドとマーチンゲール — 嘘をつく曲線
この2つはインターネットで最も美しい資産曲線を生みますが、どちらも実際の期待値はマイナスです。計算が間違っているのではなく、曲線が見た目とは別のものを測っているからです。その理由を理解することが、口座を一度に失わないための最も安いワクチンです。
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グリッドとは
一定間隔で並べた注文の網です。価格が一段下がれば買い増し、上がれば小さな利益で決済。予測もストップもありません。価格がレンジ内で往復するかぎり、この機械はほぼ外さずに小銭を拾い続けます。
なぜ曲線は上がる一方なのか
決済したものしか測らず、しかもこの仕組みは負けているものを決済しないからです。含み損のポジションは開いたまま、統計の外に置かれます。勝率が90 %超になるのは、決済したものだけを数えているから。曲線は本物で、現実の半分だけを測っています。
負けたら倍にする
マーチンゲールは負けるたびにサイズを倍にし、一度の勝ちで全部取り返そうとします。エクスポージャーは 1+2+4+8+16… と膨らみます。1万ユーロの口座で100ユーロから始めると、7連敗には12.700ユーロが必要 — 口座にある額を超えます。しかも7連敗は不運ではなく統計です。勝率50 %なら200取引の中で起きる確率のほうが高い。
同じ数学、二つの結末
レンジでは難平(ナンピン)はまさに正解です。価格は戻り、追加した段ごとに稼げます。持続的なトレンドではまさに不正解で、しかもどちらなのかを事前に見分けるパラメータは存在しません。横ばいで無敵の曲線を描く同じ機械が、トレンドではほぼ確実な破綻を生む。2つの戦略ではなく、2つの局面をもつ1つの戦略です。
広告で見分ける方法
4つのサイン。1つ当てはまれば疑うに足ります。ドローダウンがまったく見えない右肩上がりの資産曲線。90 %超と謳う勝率。数週間から数か月しかない運用実績。そして口座が減る一方でポジションサイズが増えていくこと。4つ目が決定的です。健全なシステムは、負けている最中にリスクを増やしません。
逆マーチンゲールは擁護できる
負けた後ではなく勝った後にサイズを上げる。正反対の行為で、トレンドフォローのピラミッディングの土台です。違いはスタイルではありません。元本ではなくすでに得た利益を賭けるので、悪い流れではエクスポージャーが膨らむのではなく縮みます。同じ動作の裏返し、符号一つですべてが変わります。
ここから何をするか
マーチンゲールとグリッドは収益戦略から外すこと。テールまで数え入れれば、実際の期待値はマイナスです。それでもグリッドを回すなら、正体どおりに扱うこと — 「トレンドは来ない」という賭けです。使うのはポジション単位のストップ(グリッドは構造上それを使いません)ではなく、口座全体に対する固い損失上限です。
保有コスト——スワップと金利
グリッドは一回あたり数ポイントしか取りません。だからこそ、広告がほとんど触れないコスト——ポジションを長く持ち続けること——に対して特に脆弱です。為替では毎晩受け払いされるスワップ、CFDでは想定元本にかかる日々の金利、先物では限月をまたぐロールのコストがそれにあたります。グリッドは、価格が戻るまで含み損のポジションを抱え続けることで生き延びる手法ですから、最も調子の悪いポジションにこそ最も多くの金利日数が積み上がります。この費用を差し引いていない損益曲線は、その戦略ではなく別の戦略を描いています。